昨日のリチブロでは、刑事ドラマ『相棒』の脚本に足かけ18年も携わってこられた輿水康弘さんのお話をご紹介しました。
●ドラマ『相棒』の脚本家が説く、すぐれたストーリーの生み出し方
輿水さんはこのインタビューで、脚本を書く時のプロット(筋書き、構成、設計図のようなもの)づくりについても触れていらっしゃいます。
輿水さんが『相棒』の脚本を書かれる時、最初に考えるのは事件の概要と、水谷豊さんらの扮する特命係の2人が現れて事件を解決するということだけ。
もちろん、構成を考えずに書くというわけではなさそうです。
ただ、書き方に正解はないとおっしゃっています。
箱(プロット)をつくらないと早々につぶれるといわれる一方で、箱をつくるのは能がないとも言いますから、と。
私自身、小説を書く際にプロットは必要かどうか、迷った時期があり、いろんな作家の方々の考えを調べてみたことがあります。
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例えば、以前このリチブロでも触れたディーン・R. クーンツさんは、プロットはきちんとつくらなければダメだと主張されています。(『ベストセラー小説の書き方 』/(朝日文庫)
ところが、モダンホラーで世界的に有名なスティーヴン・キングさんは、プロットをつくることを否定されています。(『書くことについて』/ (小学館文庫)
日本の作家はどうでしょう。
直木賞と本屋大賞をダブル受賞された恩田陸さんは、
「書いてみないと分からないし、あまり細部を決めてると書いていて面白くない」(『ミステリーの書き方』/幻冬舎)
と、あまり綿密にプロットは立てないようです。
大沢在昌さんは、
「設計図をていねいに引くと、それでもう書き終えてしまったような気になり、楽しみが失せる。また刻明な設計図があればあるほど、なぞることに意識が向いて、物語をふくらます努力とかけ離れていく」(ミステリーの書き方 (幻冬舎文庫)
)
とおっしゃているようです。
逆に、新野剛志さんのように、
「作家を目指しているころ、大まかなプロットだけで書いたことがあるが、ひどい結果に終わった。それ以来、きっちりプロットを作ってから書き始めるようにしている」(ミステリーの書き方 (幻冬舎文庫)
)
という方もいらっしゃいます。
他にもいろんな作家の方々の考えを調べてみましたが、答えはまちまち。
どうやら、こうしなければならないという絶対的な答えはないようですね。
10人の作家がいれば、10人の書き方がある。
また、ジャンルによっても書き方は違ってくるともいえるでしょう。
ちなみに私は、本業である雑誌の原稿を執筆する際、プロットを立てて書くことはありません。
小説に比べて短いので、頭の中だけで大まかな構成をイメージできれば書き進められますし、そもそも、綿密に構成を練っている時間もありませんからね(笑)。
小説も、短いものは同じ調子で何本か書き上げることができました。
ところが、その調子で長めの小説にもチャレンジしてみたところ、途中でどう進めてよいか分からなくなってしまいました。
いまのところ休止状態です・・・。
構想を練り直して、なんとしても完結させるつもりですけどね。
小説の入門書には、プロットを立てることを勧めるものが多いようです。
天才や熟練のプロ作家の方々は別として、まだ小説執筆に慣れないうちは、プロットを立てた上で書き進めた方が安全かもしれませんね。
いずれにしても、執筆方法というのは、自分で試行錯誤を繰り返して独自に確立していくものなのでしょう。
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