執筆が捗らないなら、いったん書くのをやめてみる

今日からまた新しい雑誌原稿を執筆することになりました。

すでにインタビュー済みの録音データをもとに記事を構成していきます。

私はもともとエンジンのかかりが遅いというのもありますが、初日の大半は録音データを文字起こししたものの読み込みに費やしました。

もっとどんどん書き進めてもよかったのですが、私の場合、書く前に少し時間をおいたほうがよい文章になるのです。

文字起こしの重要箇所に赤線を引きながら何度も読み返し、内容をしっかり咀嚼する。その後少し時間をおくと、潜在意識の中で読み込んだ素材が発酵し、やがてその誌面に最も相応しい文章が迸り出てくるのです。

もちろん、締め切りが迫っている時はあまり悠長なことはやっていられませんから(笑)、限られた時間の中でそのプロセスを圧縮して何とか間に合わせます。

書く前に内容を潜在意識の中で咀嚼し、発酵させる。

このことから思い出したのが、ジェームス・W・ヤングさんの『アイデアのつくり方』(TBSブリタニカ)です。

スポンサーリンク

とても小さな本ですが、素晴らしいアイデアを生み出すためにはどうすべきか、本質的なことが書かれていて、クリエイティブな仕事に携わる人の間ではバイブルのように大切に読み継がれている本です。

この本の中に、アイデアをつくる過程というのが紹介されています。

第1 資料集め──諸君の当面の課題のための資料と一般知識の貯蔵をたえず豊富にすることから生まれる資料と。
第2 諸君の心の中でこれらの資料に手を加えること。
第3 孵化段階。そこでは諸君は意識の外で何かが自分で組み合わせの仕事をやるのにまかせる。
第4 アイデアの実際上の誕生。<ユーレカ! 分かった! みつけた!>という段階。そして
第5 現実の有用性に合致させるために最終的にアイデアを具体化し、展開させる段階。(『アイデアのつくり方』/TBSブリタニカ)

執筆する前に、潜在意識の中で素材を発酵させる過程は、まさしくアイデアを生み出す際の第3の孵化段階にも通じると思います。

この孵化段階についてヤングさんは次のように書かれています。

この第3の段階にやってくれば諸君はもはや直接的にはなんの努力もしないことになる。諸君は問題を全く放棄する。そしてできるだけ完全にこの問題を心の外にほうり出してしまうことである。(中略)
ここですべきことは、問題を無意識の心に移し諸君が眠っている間にそれが勝手にはたらくのにまかせておくということのようである。(中略)
問題を完全に放棄して何でもいいから自分の想像力や感情を刺激するものに諸君の心を移すこと。音楽を聴いたり、劇場や映画に出かけたり、詩や探偵小説を読んだりすることである。(『アイデアのつくり方』/TBSブリタニカ)

そうすると、例えば髭を剃っている時や風呂に入っている時など、思いがけない時にアイデアが訪れるというのです。

ノーベル賞を受賞するような大発明も、ヘトヘトになるまで考えぬいた後、研究とは無関係のことをやっている時に閃いたという話をよく聞きます。

文章がうまく書き出せない、まとまらないという時は、いったん原稿のことはサッパリ忘れて、他のことに従事するといいかもしれませんね。

スポンサーリンク