先日、このリチブロでもご紹介したテーラワーダ仏教・スマナサーラ長老の新刊『慈悲の瞑想』。
先週末に読み終わったんですが、とても素晴らしい内容だったので、少し振り返ってみたいと思います。
目次
これまでの「慈悲の瞑想」では不十分!?
この本でスマナサーラ長老は、
「慈悲の瞑想」のフルバージョン
というのを新たに紹介なさっています。
「慈悲の瞑想」というのは、長老がこれまでにもご著書で再三にわたって推奨してこられた瞑想法で、ネガティブな思考で汚れた心がたちまちキレイに、穏やかになる素晴らしい瞑想法です。
誰でも簡単に実践できるので、私も毎日実践しています。
ところが、です。
本書を読んで初めて知ったのですが、この従来の「慈悲の瞑想」、実は省略版、携帯バージョンなのだそうです!
知らなかった・・・。
だから私のようなシロウトでも実践しやすかったのね(笑)。
でも、省略版だからといって侮るなかれ。
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でも、省略版だからといって侮るなかれ。
おかげさまで私の人生、大きく好転しましたよ。
本気で実践すれば、間違いなく効果がある。そう自信を持って言い切ることができます。
だから、これまでどおり省略版の実践だけでも一向に構わないんでしょうけど、「慈悲の心」をさらに深めていくなら、今回長老が新たにおつくりになった、「フルバージョン」にも挑戦すべきでしょうね。
「慈悲の瞑想」のフルバージョンとは?
長老は今回、新たに慈悲の瞑想のフルバージョンをおつくりになるにあたり、パーリ経典からお釈迦様が慈悲について語られているところをたくさん参考になさったそうです。
仏典を調べに調べて、あらゆる、いかなる性格の人にも合うように、慈悲の瞑想のフルバージョンをつくってみた。この瞑想は、仏道をすべて完成するようにという気持ちでつくったとのことです。
長老の並々ならぬ思いが伝わってきます。
で、実際の慈悲の瞑想・フルバージョンはどんなものかというと、
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これまでの慈悲の瞑想・省略版よりも、かなり踏み込んだ内容になっています。
その分、相当長いです。
全部で以下の10のパートに別れています。
・私は幸せでありますように
・私に、他者に対する慈しみの気持が現れますように
・すべての生命は兄弟
・私は、釈尊の言葉を念じます
・こころは空気のように
・こころは大地のように
・皆、業を相続します
・エゴの錯覚
・苦しむ世界で苦しみなく
・慈しみの拡大
各パート毎に、慈悲の心や、お釈迦様の教えの神髄にまつわる印象的なフレーズが掲げてあって、とても心に染みます。
「慈悲の瞑想」フルバージョンの実践は大変?
ただ、これまでの慈悲の瞑想・省略版はすぐ覚えられて、実践も簡単だったのですが、このフルバージョンはかなり長いので、すぐに諳んじることはできませんね。
しばらくは本を見ながらの実践になりそうです。
ましてや、全文を心を込めて念じられるようになるには、相当やり込まないとね。
スマナサーラ長老ご自身も、すべてを唱えるには時間がかかると書かれています。
なので、自分の心で感じやすいセットを繰り返し3回唱える。あるいは、自分の気に入ったセットを1つ2つ選んで唱えてみるのもよいそうです。
実践を続けるうちに、自分が一番気に入るフレーズが見つかり、それが自分専用の慈悲の瞑想になるんだそうです。
怒りや恨みを抱き続けたらどうなるか?
というわけで、私の心にまず響いたのは、
「怒り、嫉妬、憎しみの感情は人のこころを苦しめます」
「私の思考が慈しみの思考になりますように」
というフレーズ。
日々の生活の中では、嫌なことにもいろいろと遭遇します。
そのことで、相手に対してネガティブな感情を抱くこともあるんですが、それによって一番損するのは、結局自分なんですね。
「あんちくしょう!」と心の中で一人怒りの炎を燃やしていも、相手はそんなことなど気づきもせず、何のダメージを受けることもなく、平気の平左で楽しげに生活をしている。
一方、心の中で怒りの炎をムラムラと燃やしている自分はどうかというと、どんどんツキを失い、周りから人が離れていき、やることなすこと全部裏目に出て、坂道を転がり落ちるように運命が下降線を辿っていく。
すべては因果の法則、原因結果の法則に 則っていて、自分が思ったりやったりしたことは、全部自分に返ってくるわけです。
だから、怒りとか恨みとか、そういうどす黒い感情を抱えているのって本当に怖いことなんです。
昔は、夜中に神社に行ってわら人形に五寸釘を打ったりとか、まじないやら祈祷やらで相手を呪い殺そうとしたりとか、そういう話をよく聞いたものですが、絶対にやめた方がいいですね。
全部自分に返ってきますから。
おぉ、こわい、こわい・・・。
怒り、恨みなどなど、どす黒い感情を即座に解消する方法
とはいっても、心にいったん怒りの感情が湧いてしまうと、治めるのは大変です。
抑え込もうと頑張れば頑張るほど、よけいに燃え広がったりして。
そんな時に「慈悲の瞑想」が素晴らしい力を発揮してくれるんです。
ムカッ、イラッとしたら、即座に実践するのがベスト。
悪い運命に足を踏み入れそうになるのを防いでくれる、御守りのようなものだと私は思っています。
大事なのは、怒りはなるべく小さなうちに消してしまうことだ、と長老は他のご本に書かれていました。
大きく燃え広がってしまったら、消すのは容易ではありませんからね。
マスコミでは毎日のように恐ろしい凶悪犯罪のニュースが報じられていますが、そういうのはみんな怒りとか恨みが大本にあるわけでしょう。心に生じた怒りの火が、大火事になるまで燃え広がって、大爆発を起こしてしまうんだと思います。
そう考えると、怒りに対処する方法を知らないのは不幸ですよ・・・。
まぁとにかく、犯罪を起こすような極端なところまではいかないにしても、怒りとか恨みとか、そういうどす黒い感情を抱えていてよいことは1つもありません。
だからムカッ、イラッとしたら即座に、慈悲の瞑想の一番キモとなるフレーズ、
「生きとし生けるものが幸せでありますように」
を繰り返し心の中で念じて、怒りの火を消してしまったほうがいいです。
・・・と、ずいぶん偉そうなことを書いてきましたが、私自身はまだまだ全然修行が足りてません(笑)。
実は昨日の夜もけっこう腹の立つことがあって・・・(苦笑)。
でも、イヤな気分を引きずりたくなかったので、朝会社に向かう通勤電車の中で懸命に「生きとし生けるものが幸せでありますように」を繰り返しました。
今回スマナサーラ長老がつくってくださった「慈悲の瞑想」のフルバージョンを実践して、日頃から「自分の思考が慈しみの思考になるように」心を養っておきたいものです。
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