ノーベル賞作家カズオ・イシグロ『日の名残り』を読了

年末に入手していたカズオ・イシグロ氏の『日の名残り』 (ハヤカワepi文庫)を、ようやく読了しました。

恥ずかしながら、昨年ノーベル文学賞を受賞するまでカズオ・イシグロ氏のことを知らなかった私。

すぐにその著書『わたしを離さないで』 (ハヤカワepi文庫)を読んでみたところ、心をえぐられるような切なぁい読後感を得ました。

●ノーベル賞作家カズオ・イシグロ氏の『わたしを離さないで』を読了

●カズオ・イシグロ氏 ノーベル賞作家の執筆法

●カズオ・イシグロ氏にノーベル文学賞 『日の名残り』など執筆

そこで氏の世界にさらに分け入ってみたいと思い、続けて『日の名残り』も手に取ってみた次第です。

『日の名残り』は、イギリス最高の文学賞であるブッカー賞を受賞したイシグロ氏の代表作。

実際に自分が読んでみての感想ですが・・・。

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内容的にはとても地味で、これがノーベル賞作家の代表作として話題になっていなければ、手に取ることもなかったかもしれません。

しかし、読み進めるうちに、主人公が自身の職務に真摯に向き合う姿勢に共感を覚え、どんどん引き込まれていきました。

なんといっても読後の余韻は格別。大満足です。

主人公は、イギリスの名家に仕える執事。

自分の仕える主人を心から信頼し、そして自らの仕事に大きな誇りを持っています。

物語は、主人の留守中に、勧められて旅行に出かけることになった主人公が、これまでの執事人生を振り返りながら各地を回り、最後にかつて同じ屋敷で女中頭を務めていた女性との再会を果たすというものです。

主人公は旅先で幾度となく、一流の執事とは何かという問いかけをします。

◯◯の2文字で表される主人公の結論は、どの分野でも一流と言われる人は身につけているものであり納得。

○○が気になる方は、ぜひ本書を読んでみてください(笑)。

また主人公は、その職務に対する忠実さ、真面目さによって、執事としては一級の実績を上げる半面、時にこちらがまどろっこしく思うほどの律儀さ、融通のきかなさから、人生に大きな悔いを残してしまいます。

一所懸命に頑張っても、いろんな後悔を残してしまうのが人間。

そんな不完全な私たちを、優しく包み込んでくれるような、ラストの黄昏時の情景にはウットリさせられました。

夕方こそ一日でいちばんいい時間だ。

終盤に出てくるこの言葉とともに、「日の名残り」というタイトルに強く惹かれるのは、やっぱり私が年をとったからでしょうかね(笑)

なお、この作品は名優アンソニー・ホプキンス主演で映画化もされているようですね。ぜひ観てみたいものです。

イシグロ氏の代表作をこれで2冊読んだわけですが、その力量が一層よく理解できました。

ノーベル文学賞の受賞とは関係なく、私の好みの作家として、カズオ・イシグロの名は脳裏にしっかりと刻み込まれました。

『日の名残り』。よろしかったら、ぜひ手に取ってみてください。

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